2018年3月17日土曜日

3Dプリンタ導入記 tevo tarantula 編

お久しぶりです。更新が開いてしまいました。

NC切削は金属も削れてよいのですが、rapid prototypingをやろうと思うと3Dプリンタがやり易いと思い、いっちょ買ってみるかとなりました。

で、買ってみたのが当時aliexpressで(当時)一番売れていて一番安かったtevo tarantula。$200くらいでした。
キットなので、頑張って組み立てて完成させました。
それで色々遊んでみて3Dプリンタとは何たるかが見えてまいりました。

















見えてきたのは、3Dプリンタはスペックではないということ。
これはtevo taratulaという安3Dプリンタが体を張って教えてくれたことでした。
数字で見るとtevo tarantulaは十分な積層精度を持っていました。しかし実際刷ってみると、まぁまぁ体裁は保てているがこの変な横シワは何なの?というような仕上がりになりました。




















造形物の精度不足は躯体の強度が問題でした。

極限までベッドやヘッドの動作が遅ければ強度は関係ないでしょう。
しかし3Dプリンタを使ったモデル作成は結構な時間がかかります。
そのためベッドやヘッドがかなりの速さで動きます。
その時、ステッピングモーターが刻んだ動きをどこまで3Dプリンタの筐体が
受け止められるかが重要な要素となるのです。
躯体の強度が低いと、それがモロに形状の精度に響いてしまうのです。

tevo talanturaの場合、特に問題なのがベッドの構造です。
ここらへん>のblogを見てもらうと分かるのですが、ベッドが一本の押し出し材
で固定されているため、ベッドが画像から見てroll方向にしなり易いのです。
そのため、そのしなりが作成物の精度に影響を及ぼしてしまいます。
端的にいうと、ベッドがグラグラなので造形物の精度が出ないのです。

TEVO tarantulaは多くの経験値を与えて下さりつつ、役目を終えドナドナ
されてゆきました。

2014年7月8日火曜日

Gコードへのエクスポート

ガーバーデータが完成したらGコードへ落とします。

この作業はEagleの組み込みスクリプトを使って行います。
スクリプトはキデッジblogさんのものを使わせていただきました。

実際には少し手を入れさせて頂いて、複数枚同時に取れるようにしたり
ゼロ割りエラーを回避させたりとかちょくちょく自分で改修したのを使いました。
一応ここいらへんに置いておきますのでご所望ください。
配布条件はキデッジblogさんに準じたいと思います。


そしてULPを実行します。
まず、1_g_thick.ulpを実行します。
1のulpには回路を削るためのパス情報生成プログラムが入っています。

1_g.ulpってのもありますが、これは浅く切削するパラメタが仕込んであるものです。
具体的には1_g_thickが、0.4mm、1_gが0.3mmです。
プリント基板の銅箔は35μm(=0.035mm)位の厚さなので、両方共余裕で切削
できると思いきや、基板に反りがあったりするのでこのくらい余裕がないと
キビシイのです。
余裕を持ちすぎて深く削ると細い配線が作れないので微妙な調整が必要なトコロです。
他にも切削幅のパラメタもあるのでエンドミルの形状に応じて変更する必要があるかも知れません。

そして、その次に2_g.ulpを実行します。
2のulpには基板に開ける穴と外周の切削情報が入っています。
なので、このulpには基板の厚さ情報が入っています。
今は1.6mmになっていますので、それ以外の基板を削る方は直接編集する必要があります。

すると、
・xxx_net.txt(回路切削情報)
・xxx_hall.txt(穴、外周切削情報)

という2つのファイルが生成されます。
これがGコードです。

次にツールパスを確認します。
配線が近すぎると削ってくれなかった
り、
オペミスで変な方向に切削しそうになってる場合もありますので
目視で確認しておきましょう。
私はNCVCを使いました。

















さて、目視で問題なさそうでしたら次は切削です。
一朝一夕ではいかなく、問題は山積みなので
少しずつ切り崩しながら解決していきます。

2014年3月14日金曜日

回路設計

回路設計はEagleでやることにしました。
フリーのdesignsparkのCADも試しましたがauto routeがバカだったので止めました。

Eagleはお金を払わないで使うと回路のサイズに制限があったり、
一層基板しか作れなかったりとかあるのですが、
まぁCNCで削るのは一層だしとりあえずはそれでいいかなということで
Eagleにしました。


そして、回路設計をします。


こんな感じで、









こんな仕上がりになります。

ガーバーデータは普通に作っていけばいいのですが、後の処理のため
若干考慮する点があります。
まずdefaultの線の太さでは心もとないので、少し太めの20mil(0.5mm)に
しました。これはEdit→Netclassesで変更できます。

そして、基板を切り抜いてくれるのですが、そのデータの作り方に留意する点があります。
基板を切る場合、20 Dimension,width=0で線を引けばその通り切り抜いてくれるのですが
その線は必ずloop、閉じた線になっている必要があります。
そして線を書く場合は右回りか左回りに連続して書いて下さい。あっちゃこっちゃ
線を引くととても残念なことになります。





2014年3月13日木曜日

プリント基板(PCB)の切削 序章

さて、アルミ切削が一段落し、少しの間アクリルを削って遊んでいたのですが
ふと思い立ってプリント基板(PCB)を切削することにしました。
最終的に完成したモノはこんな感じです。



















自分が言うのも何ですが良い出来です。
しかしここまで到達するのに幾多の障害があり、
これからやる人が障害にハマらぬように手順を記録することにしました。



さてさて、まず最初の目標としてQFPパッケージ↓に対応した回路を切削することにしました。

















そして、結論から言うと目標は達成しました。
しかし、QFPパッケージの切削は精度を要求するので苦労が多く実りが少ないです
可能であればピッチ変換ボード↓を使うのが良いと思います。
秋月電子HPより











さてさて、所謂ホビイストの電子工作クラスの回路設計では、
辛酸を舐めたQFPパッケージのような微細な加工の登場は少なく大概は精度に余裕のある
回路が多いように思えます。
そういった場面ではCNCでの切削はかなりアドバンテージがあると思うのです。
なぜならその例としてまず、穴をあけてくれること。
そして、薬品を使わずにサクッと回路を作れること。
これはいいです。
もうユニバーサル基板とUEW線にはオサラバできるのです。


2014年1月5日日曜日

総括というか反省

トップブリッジが出来て少し経ちました。
今はアクリルや基板を削って遊んでします。

さて、今までは無料のソフトで何とか頑張って来ましたが、
無料に拘ってJW-CADとG-simpleで粘るよりかは、
ババっと金を簡単な世界に踏み入れる方が無難だと結論づけました。

詳しく書きますと、私はトップブリッジを削った後に、
Cut3D →3万
Mach3 →2万
を買いました。
その動機に至ったのはPTCのCreo Elementsに出会ったからです。
コイツは無料で、3Dでモデリングが出来ます。
JW-CADのような2Dではありません。

パーツ数に制限がありますがそれ以外は制限がなく
かなり自由にモデリングが出来ます。
いや、もっと言うと理想を形にする時、2DのCAD一式では全く力不足だと
思うようになりました。

さて、そんなこんなでCreoで吐き出した3Dデータ(stl)をツールパスに落とす
Cut3Dと、体験版では収まらなくなった肥大化したGコードを扱う正規版Mach3を
買うに至ったワケなのです。

買って弄んだ感想ですが、
ぜんぜん違う!
はっきり言って無料で粘る意味はないです。
身銭を切って3Dでモデリングできる環境に移るべきです。

というワケで、今後はJW-CADをステた前提でblogを更新してまいります。

2013年11月30日土曜日

そして完成

今回の不幸な出来事は全体の2/3ほど、約12mmほど切削した時点で起こりました。
思うに今回の制作物は単純なツールパスで6mmのエンドミルで深さ10mm以上掘ると起こりかねないのではと。

そこでまた前のような騒ぎは嫌なので、面対称な物体な利点を活かして、
裏返して切削を再開しました。

さてその頃、色々失敗して散々な目にあったことをtwitterで吐露してたら
会社の先輩からアドバイスが。

切削油は絶対必要

あそうでしたか・・・。

それ以降は水溶性切削油をチロチロとかけながら切削するようにしましたが
刃の持ちがよくなった気がします。

 さてその後は順調に切削は進み見事目的の形状は作成できました。
まだバリついてるけど一応完成













次はスリ割りです。
ジグソーでやろうかとも思いましたが、NCで3mmのエンドミルを付けて
ちょっとずつ切り込みを入れていきました。



次はタップでネジ切りです。
こーゆーのは経験がモノをいいますよね。

こんなの中学の技術家庭科の時間以来です。
しかもジュラルミン、硬い。

汗をポタポタ垂らしながら体重をかけてネジを切っていきます。

最初は全然噛まなくて無駄に穴を広げてしまって焦ったのですが、半分くらいやった所でやっと噛んでネジ切りできました。

最初にやった噛まない部分を含むスリ割りより上半分はあとでドリルでバカ穴にします。








さて、↑の写真で分かりますが切削面、汚いですよね。
荒削り一本でいったのでこんな感じになってしまいました・・・。




















そんなこんなで、何とか、何とか完成しました。
左上に見える線は送りを失敗してキズ付けてしまった線です。

そして、オリャーっとハメることが出来たのです。





2013年9月19日木曜日

右手系と左手系

右手系と左手系というのは座標系の話です。

すごく端的にいうと、両手でフレミングの法則の時の手の形をします。
親指がX軸、人差し指がY軸、中指がZ軸です。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b2/3D_Cartesian_Coodinate_Handedness.jpg
wikipedia.org より













当たり前ですが、Z軸の方向が右手と左手で逆なんですよ。

なので、右手系と左手系の間でデータのやりとりをすると残念なことがしばしば起こります。

今回切削したトップブリッジは面対称だったので、右手系左手系を意識することなく
切削できました。が、今後のことを考えると無駄に脳内左右変換の煩雑さや
ワケの分からない座標系由来の不都合の根は早々に断ち切った方が良いでしょう。

ということで、座標系は一貫して右手か左手に統一した方が精神衛生上良いと思うのです。

さて、ではどちらに統一すべきかというと右手系です。
なぜなら中華CNC以外、扱ったソフトウェア全てが右手系だったからです。

ちなみに蛇足な話ですが、私はDirectXから入った人間なので珍しい左手系信者です。
しかし、ほとんどのエンジニアは数学やOpenGLで用いられている右手系を好んで使います。


ということで、ババっと座標系を変えてしまいます。
一番簡単なのは物理的にX軸のステッピングモーターのコネクタとY軸のと交換して
しまうことですが、今回はそうせず Mach3のportのセッティングを変えることにしました。



X AxisのportとY Axisのportのpinを入れ替えました。
これだけ。

これでまた精神衛生上よろしく切削ができるものと思います。